2015/05/12

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール God Help The Girl (2014)


思い込みに近い期待を希望と呼ぶならば、この映画は希望と、それに伴う失望に満ち溢れていると言える。ジェームズはイヴの態度に期待して、イヴはカセットテープの導くよりよい未来へ期待する。「なぜニノ・ロータを神だと?」
「人は生涯にひとつだけでも天才的な歌を作ったならば、永遠になるのさ」
「簡単に聞こえるわ」「そう簡単じゃないよ」

ひと夏、グラスゴーへやってくる少女イヴ。やがて季節が移り変わるころ、彼女たちは散り散りになっていくけれど、あのライブ、そしてカセットテープはずっと残り、やがて伝説になっていくのだった。でもそれをまだ彼女は知らない。現代なのにノスタルジックで、過剰なくらい甘くロマンチック!終盤イヴが電車に乗る場面は、まるで「アンナ」でのアンナ・カリーナを彷彿とさせる。

「アンナ」1967

ちなみに、第六感を持った人物としてユーモラスに描かれるキャシーは、主要人物の中で唯一思いのまま行動して、最後までぶれることなくホームへと向かう。「遊びに行きましょ!」と言われてラプンツェルみたいに2階から降りてこようとしたり、アイスクリームを放り投げて踊りに行ったり、とてもキュートで大好きだった!イヴが「500日のサマー」でのサマーのように、ともすれば「男子の理想の文化系女子」として鼻につきそうなくらい非現実的なのに対して、キャシーはコミカルに描写されていて、とても可愛い。



イヴを見るジェームスの視線!この映画は目と目のやりとりの描写が過剰なくらいあけすけで、青春…。
エミリー・ブラウニングは激マブだけれど、この映画での彼女は(わざと)決してメインストリームではない。
ジェームズがマジョリティのマチズム溢れる男たちに弄られたり「あなたフェミニンすぎ」と言われているのに対して、薄メイクの文化系女子イヴがジェームズ以外にもモテモテなのは、少し夢が入ってるとしか思えない。

エミリーの声はとてもキュートで、どの歌もとても可愛いけれど、なにせ甘くて、全編甘ったるすぎて!
「君の歌は子供の歌だよ」と言われているシーンがあるけれど、確かに途中、ヴィンテージ風の洋服店の中でニール・ハノンが流れてきた時、少しほっとした…(ひどい)
劇中の歌のシーンで一番好きなのは、やっぱり「I'll have to dance with Cassie」!
一番盛り上がる!



素敵なアドのために追い回されるシーンもとても可愛かった。「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」風のギャグシーン。映画と音楽と服の大好きな人が全部キラキラしたものを詰め込みました!みたいな可愛い作品だったので、日本でもこういうのができないかなと思ったな。


とても可愛い映画だった…きゅんきゅん!

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